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  • 2014.08.25 Monday

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    シアトル国際空港

    • 2014.08.24 Sunday
    • 19:10


    『みんな、いろんなものを連れて あっちこっちに行ってるのねぇ〜』 そう彼女は言った。
    彼女の実弟は 養蜂業を営んでいて、開花の時期に合わせて日本中 蜂を連れて移動している。
    東北地方に生息する「橡(とち)の木」を南九州の宮崎に植えてみたけれど、
    気候や土壌の違いなのか 生育しなかったらしい
    やはり花を求めて ”蜂の方を連れて” 移動するしかないそうである。

    彼の作る蜂蜜は絶品で ”とち” の 蜂蜜は ミントの清涼感が ほのかに残るさわやかな一品。
    私の一番のお気に入りで、胃に不快感 があるときは 蜂蜜をひとサジなめると
    たちまち爽快になるので、味だけではなく成分にもヒントがあるのだろう。
    蕎麦の蜂蜜は 蕎麦粉の色をしていて、独特の風味とコク があって ご馳走 のような蜂蜜である。

    私自身、まさか犬を連れて日本中、いや外国にまで行くことになろうとは思ってもみなかった。
    アメリカから輸入 する 2頭目の牝の ゴールデン 2才のアメリカ・チャンピオン ロキシー を
    連れて帰ってきたのが、犬同伴の初国際線だった。1993年2月のこと。
    今では事情が違うかもしれないが、アメリカ国内のローカル空港から国際空港で乗り継ぐときは
    スーツケースなどの手荷物 は 搭乗 する最初のローカル空港で預けると、乗り継ぎがあっても
    自動的に載せ替えてくれて、最終仕向地の日本の空港で 普通にちゃんと受け取れる。

    ところが「犬」の場合は、最初のローカル空港で預けて 国際空港に到着すると、
    手荷物受取所でいったん降ろして、国際線搭乗手続きカウンターまで連れて行き、
    そこで、通関手続きをして、過剰手荷物料金を払ってから、改めて国際線に乗せるのである。

    国際空港というのは どこの空港も同じで、とてつもなく広い、
    空港内の地図が頭に入っているわけではないし、時間は限られているので、
    迷わずに上手くやったとしても 想像以上に時間がかかるもの。

    ユタ州ソルトレイク空港からロキシーと私は、デルタ航空の国内線に搭乗した。
    シアトル国際空港に到着すると、大急ぎで一番近いデルタ航空のカウンターに走った。
    事情を手短に説明して受け取る場所を教わる、教わったことを繰り返しつぶきながら また走った。
    遺失物預り所に廻されるような 想定外のことだけは避けたいという 一心で、走った。

    デルタ航空の手荷物引き取り所に着いたときには、まだ ロキシー は出てきていなさそうだった、
    係りのおじさんに「国際線に乗せるので、大急ぎで連れてきてください」と頼んだら、
    おじさんは近くの通用口から入っていって、直ぐに折り返してきたんじゃないかと思うほど、
    すぐにケージに入った ”私のゴールデン” を運んできてくれた。
    心から『サンキュー!』と大きな声で言った。

    さあ、国際線に急がなくては、と、、キャリーが見あたらない。ゴールデン用の大きなケージを
    運ぶ台車くらいどこかにあるはずだけど、もう気持ちに 探す余裕などまったくない。

    空港規則では空港内で犬を歩かせてはいけないのだけれど、そんなことも言っていられない。
    荷物を首からぶら下げ、ロキシーをケージから出してリードを付けて左手で持ち、右手で
    大きなカラのケージを持って足早に、だだっ広い無機質な空港を駆け抜ける。
    すれ違うパイロットやスチュワーデス、空港職員は みな異口同音に「わぁ〜可愛い!」を連呼。
    気分だけでも軽くなった。 誰ひとり「空港規則では、、、」などと言ってくる人はいなかった。
    日本の空港ではこうはいかない。 エレベータにも乗った。
    上がったり下ったりしながら、やっとの思いで国際線搭乗手続きフロアーに到着した。

    ノースウエスト航空のティケティング・カウンターが目に入った。いちもくさんに目指した!
    カウンターの前でケージを下ろし、ロキシーと抱き合うようにして その場に座り込んでしまった。

    奥から、ダイレクターの男性が 急いでカウンターの外まで出てきた。
    『どこでそんなに可愛いゴールデンを見つけてきたの?』、湯気が立っているような 私の脳細胞に
    フレッシュな酸素を注いでくれるような言葉に、荒い呼吸をしながらも 私は疲れが一気に吹っ飛んだ。

    『こんな大きな犬を日本まで持っていくのは大変でしょう。僕がもらってあげるから、ここに
    置いていっていいよ』 ロキシーを優しく触りながら、冗談か本気か分らないような言葉を、
     彼は ”何度” も言った。「今もらってきたばかりだから あげられない」 少し落ち着いてきた 私が言うと
    『実は 僕もゴールデンを飼ってるんだけど、こんなに可愛いコールデンが アメリカにいるなんて
    信じられない、ほんとうにどこで見つけてきたの?』と真顔になって聞いた。

    もちろん、彼は空港関係者なのだから、動物を乗り換えさせる大変さは、当然知っているだろうが、
    彼らのユーモアのセンスというか、乗客のストレスを開放させるセンスというか、
    人の気持ちを和ませる話術や、気分を良くさせる接客態度には、遭遇する度に敬服させられる。

    搭乗手続きを終えてから、
    長旅の前にロキシーを散歩させて、水を飲ませて 諸々の用を足すことに、もちろん快諾してくれた。
    ロキシーにリードを付けて、広い空港ロビーを、今度は悠々と歩いて建物の外に出た。
    彼女の最後のアメリカに 満喫とまでは行かないけれど 「good by!」 した。